あなたは今、「本当はこう言いたいのに」と思いながらも、心に言葉をしまっていませんか?
- 相手の顔色をうかがってしまう
- 無理に合わせてしまう
- 言いたいことを飲み込むクセがある
もしかすると、それはすべて「嫌われたくない」という深い気持ちからくる行動かもしれません。
人と関わるなかでの恐れや不安。それは、とても自然な心の反応です。
なぜ私たちは「嫌われること」をこんなに怖がるのか?
誰しもが、“誰かに必要とされたい”という根源的な欲求を持っています。
特に過去に、
- 人間関係で拒絶された経験がある
- 親や教師、友人に否定された記憶がある
- いつも「いい子」でいなければならなかった
そんな体験があると、「自分をそのまま出す=嫌われるかもしれない」という思い込みが心の中に根付いてしまうのです。
その結果、本音を出す前にブレーキがかかり、無意識のうちに自分を守るための“仮面”をかぶってしまうことがあります。
本音を言えないと、心はどうなる?
「言わなければ嫌われない」「いい人でいれば安心」、そう思って我慢し続けていると、次第にこんな気持ちが生まれてきます。
- 自分が何を考えているのか分からなくなる
- 誰にも本当の自分を知られていない気がする
- 周りに合わせるばかりで疲れてしまう
本音を出さないことは、“自分とのつながり”を失うことでもあるのです。
表面的にはうまくやれていても、内側では孤独を感じてしまう。それが心のSOSにつながることもあります。
本音を伝えることは、勇気ではなく「やさしさ」
本音を言う=相手を傷つける、迷惑をかける、関係が壊れる
そう思いがちですが、本当は逆です。
あなたが自分の気持ちを伝えることは、相手に対して「信頼しているよ」というサインでもあります。
伝え方を工夫すれば、思いやりを込めた本音はむしろ関係を深める架け橋になるのです。
本音を伝えるコツ:やさしく、でも確かに「自分」を伝えるために
本音を伝えるとき、私たちは「どう思われるかな」「拒否されるかも」といった不安でいっぱいになりますよね。
だからこそ、ただ“勇気”をふりしぼるのではなく、「安心して伝えられる土台」を整えることが大切です。
ここでは、心が少しラクになる本音の伝え方をご紹介します。
ステップ1:まずは「自分の気持ち」に気づく
本音を伝えるには、まず自分が「本当は何を感じているのか」を知る必要があります。
忙しさの中で感情を置き去りにしていたり、他人に合わせる癖がついていると、自分の気持ちさえ分からなくなってしまうことも。
そんなときは、こんな問いを自分に向けてみてください。
- 今、自分は何にモヤモヤしている?
- 嫌だったこと・うれしかったことは?
- その出来事に対して「一番言いたいこと」は?
言葉にしづらいときは、ノートに箇条書きにしてみてもOK。
まずは「自分の気持ちを言葉にする練習」からはじめましょう。
ステップ2:本音の「伝え方」を整える
本音をそのままぶつけてしまうと、相手にとっては攻撃のように感じられてしまうことも。
だからこそ、「感情的にならずに伝えるコツ」を知っておくと安心です。
おすすめの伝え方は、「Iメッセージ(アイ・メッセージ)」。
これは「あなたが○○したから、私は△△と感じた」という表現ではなく
- 私は○○と感じた
- 私にはこう見えた
というように、自分を主語にして気持ちを伝える方法です。
たとえば…
✕「どうして私のこと分かってくれないの?」
〇「私は、分かってもらえないって感じて、ちょっとさみしかった」
✕「なんでいつも連絡くれないの?」
〇「私は、あなたともう少し話せたらうれしいなと思ってた」
相手を責める言い方を避けることで、防衛反応を引き起こさず、より穏やかに気持ちが伝わります。
ステップ3:「安心できる場所・タイミング」を選ぶ
本音を伝えるなら、できるだけ落ち着いて話せる環境を選びましょう。
たとえば…
- 相手が疲れていない時間帯を選ぶ
- 静かで人目の少ない場所
- 急いでいるときやイライラしているときは避ける
あなたの言葉は、「いつ」「どこで」「どんな空気で」話すかによって、相手の受け取り方が大きく変わります。
大事なのは、「言う内容」と同じくらい「言う状況」にも気を配ること。
ステップ4:言えなかったら「書いて渡す」方法も
どうしても面と向かって話すのが怖いときは、手紙やメッセージに書いて伝えるのもひとつの方法です。
紙に書くと、気持ちの整理にもなり、あとで見直せる安心感もあります。
また、書き言葉なら緊張せず、冷静に伝えたいことを表現できます。
ポイントは、「相手を責めない」「感情をこめすぎない」バランスを意識すること。
例)
- 面と向かって言うのは勇気が出なくて…でも、これだけは伝えたくて書きました
- 私はあなたのことを大事に思ってるからこそ、ちゃんと気持ちを伝えたくて
そんな一言が添えてあるだけで、相手の受け取り方もやさしくなります。
ステップ5:すぐに“いい反応”を期待しすぎない
本音を伝えたあと、相手がすぐに理解してくれなかったり、反応が薄かったりすることもあります。
でも、それはあなたが悪いわけではありません。
人にはそれぞれ、受け止めるのに時間が必要だったり、表現の仕方に差があったりします。
だからこそ、「ちゃんと伝えた自分をほめる」ことも大切です。
- いつもより少しだけ、勇気を出した自分
- 気持ちを逃げずに向き合った自分
どんな結果になっても、本音を言えたこと自体が大きな成長です。
それを繰り返すうちに、「自分を大切にしながら人と関われる力」が少しずつ育っていきます。
本音を受け止めてくれる人を見つけよう
全員に本音をさらけ出す必要はありません。
まずは、「この人なら大丈夫かも」と思える相手に、少しずつ心を開いていきましょう。
- 親しい友人
- 信頼できる同僚
- カウンセラーなど専門家
安心できる関係の中で、“本音を出しても大丈夫”という体験を積み重ねていくことが、自己肯定感を育てていく鍵になります。
自分の本音とつながる時間をつくる
誰かに言う前に、まずは自分自身と本音で話す時間も大切です。
- 今日、自分は本当はどう感じていた?
- 何を我慢した?
- どんなことを言いたかった?
ノートに書き出したり、深呼吸をしながら自分の感情に耳を傾けてみたり。
自分の内側と向き合う時間が増えると、自然と「伝えたい気持ち」が育っていきます。
嫌われるのが怖いあなたへ。無理に変わらなくていい
「本音を出せない私」は、決して間違いではありません。それだけ人との関係に真剣で、やさしくて、空気を読める感性があるからこそ。
でも、ほんの少しでもいいから「自分の心にもやさしく」あってほしい。その想いが、この記事の目的です。
あなたの本音は、あなたの中にずっと大切にしまわれてきた宝物です。
それを無理なく、やさしく、必要なときに取り出せるようになったら——きっと人との関係も、もっと安心できるものに変わっていきますよ。
あなたは、あなたのままで大丈夫です。ほんの少しずつ、心をほどいていきましょう。