「すごいね」「頑張ったね」と褒められても、なぜか嬉しくない。
むしろ気まずくなって「そんなことないです」「たまたまですよ」と反射的に否定してしまう――。そんな経験、ありませんか?
自分では「もっと素直に喜びたい」「ありがとうって笑顔で言えたらいいのに」と思っているのに、なぜか心が受け取ってくれない。
「自信がないだけかな?」「私はひねくれているのかも…」と、自分を責めてしまう人も少なくありません。
でも、安心してください。
褒め言葉を受け入れられないのは、あなたが悪いのではなく、“心のクセ”が関係しているだけなんです。
この記事では、心理カウンセラーの視点から、なぜ褒められると居心地が悪いのか、その背景にある心理的なメカニズム、素直に「ありがとう」と言える自分になるための7つのステップを、丁寧に解説していきます。
同じように悩む多くの人の声を知りながら、少しずつ自分を認める力を取り戻していきましょう。
1. 褒められても素直に喜べないのは“よくあること”
まず伝えたいのは、褒め言葉を素直に受け取れない人は決して少なくないということです。心理カウンセリングの現場でも、こうした声は本当によく聞かれます。
「褒められるとなんだか申し訳なくなる」「お世辞じゃないかと疑ってしまう」「褒められると、期待に応えなきゃとプレッシャーになる」「うまく返せなくて気まずいから、なるべく避けたい」。
これらはすべて、心が自分を守るために身につけた“防衛反応”のようなもの。つまり、あなたの心はちゃんと理由があって、褒め言葉に警戒しているのです。
2. 褒め言葉を受け入れられない人に多い「4つの心の背景」
褒められることに違和感を感じる人には、共通する“心の背景”があります。
① 自分に価値があると思えていない
「自分なんかが褒められる価値なんてない」と無意識に思っていると、褒め言葉に違和感や罪悪感を覚えてしまいます。
② 幼少期に否定や無関心を経験してきた
子どもの頃に「褒められた経験」が少なかったり、「どうせうまくいかないでしょ」と否定されることが多かった人は、他人のポジティブな言葉に不信感を抱きやすくなります。
③ 完璧主義・高すぎる自己基準
自己評価が厳しい人ほど、人からの評価と自分の感覚のギャップに戸惑ってしまうことがあります。
④ 褒め言葉=次の期待、というプレッシャー
「褒められると、もっと頑張らなきゃいけない」という無意識の重圧を感じてしまう人もいます。素直に喜ぶより、責任を感じてしまうのです。
3. 素直に褒め言葉を受け取れるようになるための7つのヒント
ここからは、「褒められるのが苦手」な自分と向き合っていくためのヒントをお伝えします。
ヒント① 褒められ慣れていないだけ、と知る
あなたが褒められたときに「なんで?」と思うのは、慣れていないだけかもしれません。“受け取る練習”だと思って少しずつ慣れていきましょう。
ヒント② 「ありがとう」と返すだけでOK
褒められたときにどう返したらいいか分からないという人は、まずはシンプルに「ありがとう」とだけ言ってみてください。
否定も説明もいりません。それだけで十分です。
ヒント③ 「その言葉を信じるかどうか」は後でいい
褒め言葉を受け取る=信じ込まなきゃいけない、と思う必要はありません。
「ありがとう」と言いつつ、「そう見えるならそれでいいか」くらいに留めておけばOK。
ヒント④ 「私にそんな価値ない」という声を客観視する
褒められたときにわく「私なんて…」という声に気づいたら、「また出たな、この反応」と、自分を俯瞰して見てみましょう。
それは“あなた自身の声”というより、“昔から染みついた思考パターン”かもしれません。
ヒント⑤ “褒めメモ”を作って残す
人に言われて嬉しかった言葉を、ノートやスマホにメモして残しておくと、自己肯定感を育てる手助けになります。
ヒント⑥ 「自分で自分を褒める」習慣をつける
毎日1つ、自分で自分を褒めてみましょう。
「今日もちゃんと仕事に行けた」「少し落ち込んだけど立て直せた」など、小さな“自分認定”を重ねていくことで、褒め言葉への受容度も高まっていきます。
ヒント⑦ 褒めてくれた人を信じてみる
自分のことは信じられなくても、「この人がそう言ってくれるなら、そういう見方もあるのかも」と考えてみてください。
信じるというより、“借りる”感覚でいいんです。
4. 自分を否定しないで、「受け取る力」も育てていこう
褒められても素直に喜べないと、「素直になれない自分が嫌だ」と責めてしまいがちです。
でも、あなたがそうなった背景には、ちゃんと理由があります。
そして、「褒められたことが嬉しい」と少しでも思いたいあなたの気持ちも、確かにそこにあります。
その小さな思いを大事にしながら、“受け取る力”も育てていくという視点を持ってみてください。
受け取る力は、“心の筋トレ”のようなもの。今日から少しずつでも、あなたの心をほぐしていけます。
5. 最後に:あなたは、もう十分に“褒められていい存在”
どんな人にも、誰かの心をあたためる一面や、頑張っている努力があります。あなたも、その中のひとりです。
だからこそ、「ありがとう」と言えなかった日も、「そんなことないです」と返してしまった日も、自分を責めずに、「それも今の私」と受け止めてあげてください。
そしてこれからは、少しずつ“褒められることを怖がらない自分”を育てていきましょう。あなたには、それだけの価値があります。