自分の意見がない、自分の意見を言えないのはなぜ?その理由と改善方法

「自分の意見がわからない」「本当はこう言いたいのに、口にできない」、、、そんな悩みを抱えていませんか?

他人に合わせすぎてしまったり、自信がなくて言えなかったり…。そのうち「自分には意見がそもそもないのでは?」と感じて、自己嫌悪に陥ってしまう人も少なくありません。

この記事では、心理カウンセラーの視点から、意見が言えない理由、意見が言えないとどうなるか、意見を言うためのコツについて詳しく解説していきます。

なぜ自分の意見が言えないのか

自分の意見が言えない理由はさまざまです。一人ひとり違った壁にぶつかっているかもしれません。

怖いから

「間違ったことを言ったらどうしよう」「笑われたらどうしよう」という恐れがあります。学校で発表するとき、手が震えたり、声が出なくなった経験はありませんか?過去に意見を言って否定された経験が、心の奥に傷として残っていることもあります。例えば、子どもの頃に「そんなことを言うなんて変だよ」と言われた記憶が、大人になっても影響していることがあります。

自信がないから

「自分の考えなんて価値がない」と思ってしまうことがあります。特に専門家がいる場所では、自分の意見を言うのをためらいがちです。学歴や経験、立場などを気にして、「私なんかが発言しても…」と引け目を感じている人も多いでしょう。自己肯定感が低いと、自分の考えに自信が持てず、黙ってしまいます。

考えがまとまらないから

「何を言いたいのか自分でもよくわからない」という状態です。頭の中がモヤモヤして、うまく言葉にできません。考えはあるのに、それを論理的に整理する訓練を受けていないと、「なんとなくそう思う」以上の説明ができないこともあります。学校教育で「正解」を求められることが多く、自分なりの考えをまとめる機会が少なかった人もいるでしょう。

空気を読みすぎるから

「場の雰囲気を壊したくない」「反対意見を言って嫌われたくない」と考えて黙ってしまいます。日本社会では特に「和を乱さない」ことが美徳とされ、空気を読むことが求められます。職場や学校のグループで浮きたくないという気持ちから、本当は違う意見でも周りに合わせてしまうことがあります。

過去のトラウマがあるから

過去に意見を言って強く否定されたり、笑われたりした経験があると、無意識のうちに「意見を言うと傷つく」と脳が学習してしまいます。そのため、似たような状況になると体が緊張して言葉が出なくなることがあります。

完璧主義だから

「完璧な意見でなければ言うべきではない」と思い込んでいる人もいます。失敗を極端に恐れ、100%自信がある場合にしか発言できなくなってしまいます。考えを練る時間が足りないと感じると、黙ってしまう傾向があります。

意見が言えないとどうなる?

疲れた表情の女性

意見が言えないと、次のような問題が起きます。一見平和に見えても、長い目で見ると良くないことがたくさんあります。

ストレスがたまる

言いたいことを我慢するのはつらいものです。「あのとき言えばよかった」と後悔することもあります。言いたいことを飲み込むたびに、小さなストレスが体に蓄積されていきます。これが積み重なると、身体的な症状として現れることもあります。頭痛や胃の不調、不眠などの原因になることも少なくありません。

自分らしさが出せない

意見は自分を表現する大切な手段です。意見を言わないと、周りから「何を考えているかわからない人」と思われることも。自分の考えや価値観を表現できないと、周りの人はあなたの本当の姿を知ることができません。結果として、表面的な付き合いにとどまり、深い人間関係を築けなくなります。「本当の自分」を隠して生きるのは、とても疲れることです。

チャンスを逃す

会議で新しいアイデアを言えなかったり、友達との会話で本当の気持ちを伝えられなかったりすると、良い関係やチャンスを逃してしまいます。例えば、職場でのプロジェクトで良いアイデアがあっても言わなければ、あなたの能力を上司に認めてもらえません。昇進や新しい仕事の機会を失うことにもなりかねません。

問題が解決されない

「このやり方はおかしい」と思っても黙っていれば、状況は変わりません。例えば、職場の非効率な作業方法に気づいていても指摘しなければ、誰もその問題に気づかないかもしれません。家族や友人関係でも、不満を伝えないまま我慢していると、関係が少しずつ悪化することがあります。

自己否定感が強まる

意見を言えない自分を「弱い人間だ」と責めてしまうこともあります。「あの人のように堂々と意見が言えたらいいのに」と自分を否定することで、さらに自信を失うという悪循環に陥ることもあります。

集団思考に流される

周りの意見に合わせるばかりだと、自分の考えを持つ筋肉が衰えます。その結果、集団の意見が間違っていても気づかなくなり、「みんながそう言うなら正しいのだろう」と思うようになります。これは社会全体にとっても、新しいアイデアや多様な視点が失われるという点で損失です。

自分の意見を持つための第一歩

「そもそも自分には意見がない」という人もいるでしょう。でも、実は誰にでも意見はあるのです。それを見つける方法を詳しく紹介します。

日常の「好き嫌い」に注目する

好きな食べ物、嫌いな映画、心地よいと感じる場所など、日常の「好き嫌い」は立派な意見です。「なぜ好きなのか」「なぜ嫌いなのか」を考えてみましょう。例えば「コーヒーが好き」という単純な好みでも、「苦味と酸味のバランスが心地よい」「朝の儀式として落ち着く」など、そこには価値観が表れています。好きな音楽、読んだ本の感想、休日の過ごし方など、身近なところから自分の好みや考えを探ってみましょう。

「なぜ?」を5回繰り返す

例えば「猫が好き」という意見があったとします。

  1. なぜ猫が好き?→「かわいいから」
  2. なぜかわいいと思う?→「丸い目と小さな鼻が愛らしいから」
  3. なぜそれが愛らしい?→「守ってあげたいと思うから」
  4. なぜ守りたい?→「弱い存在に優しくしたいから」
  5. なぜ弱い存在に優しくしたい?→「それが自分の価値観だから」

このように深堀りすると、単なる「好き」の奥にある自分の価値観が見えてきます。同じ方法で「仕事で大切にしていること」「友人を選ぶ基準」などを掘り下げてみると、自分の核となる価値観が浮かび上がってきます。

感情に注目する

日常生活で強く感情が動いたとき(嬉しい、腹が立つ、悲しいなど)に、「なぜこの感情を感じたのか」を考えてみましょう。感情は自分の価値観を映す鏡です。例えば、ニュースを見て怒りを感じたら、それはあなたが「公平さ」や「正義」を大切にしている証かもしれません。同僚の成功を素直に喜べたら、それは「協力」や「成長」を重視している表れかもしれません。

「もし〜だったら」と想像する

「もし私が社長だったら会社をどう変える?」「もし無人島に3つだけ物を持っていくなら何を選ぶ?」など、架空の状況を想像して選択を考えると、自分の優先順位や価値観がわかります。「もし宝くじで3億円当たったら何に使う?」「もし24時間が48時間になったら何をする?」など、制約がなくなった状況で何を選ぶかを考えると、本当に自分が大切にしているものが見えてきます。

日記を書く

その日あった出来事や考えたことを自由に書き出す習慣をつけましょう。書いているうちに、思わぬ発見があります。特に「〜すべき」ではなく「〜したい」という形で書くと、本音が出やすくなります。最初は「今日の天気」「食べたもの」など簡単なことから始めて、徐々に「今日感じたこと」「考えたこと」に広げていくとよいでしょう。

違和感を大切にする

周りの意見や社会の常識に対して「なんか違うな」と感じることがあれば、それは大切なサインです。その違和感を無視せず、「どこが違うと感じたのか」を掘り下げてみましょう。例えば、会議での決定に違和感を感じたなら、「なぜ自分はそう思うのか」を考えることで、自分の価値観が見えてきます。

尊敬する人の意見を参考にする

最初から完全にオリジナルの意見を持つのは難しいものです。尊敬する人の考え方を学び、「この部分に共感する」「ここは違うと思う」と考えながら、少しずつ自分の意見を形作っていくことも有効です。本、ポッドキャスト、講演などで様々な考え方に触れ、自分なりに消化していきましょう。

意見を整理する方法

気持ちをかくためのノート

頭の中がごちゃごちゃしていると、意見をうまく言葉にできません。考えを整理する方法を詳しく紹介します。

紙に書き出す

考えを紙に書くと、頭の中が整理されます。箇条書きでも、マインドマップでも構いません。思いついたことをとにかく書き出してみましょう。最初は順番や関連性を気にせず、自由に書き出します。その後で、関連するものをグループ化したり、優先順位をつけたりして整理していきます。デジタルよりもアナログの方が脳の働きが活性化するという研究もあるので、可能であれば紙とペンを使うことをおすすめします。

カテゴリー分けする

考えが複雑な場合は、いくつかのカテゴリーに分けてみましょう。例えば「働き方改革について」という大きなテーマなら、「労働時間」「評価制度」「リモートワーク」などのカテゴリーに分けて考えます。各カテゴリーごとに自分の意見をまとめると、全体像が見えやすくなります。

メリット・デメリットを書き出す

ある意見について迷っているときは、その意見に賛成した場合と反対した場合のメリット・デメリットを書き出してみましょう。例えば「転職すべきか」という問題なら、転職するメリット・デメリット、現職にとどまるメリット・デメリットの4象限に分けて考えます。これにより、自分が本当に大切にしている価値が見えてくることがあります。

話の構造を作る

「結論→理由→具体例→まとめ」という順序で考えをまとめると、わかりやすくなります。例えば:

  • 結論:「私は早起きが良いと思う」
  • 理由:「朝の時間を有効に使えるから」
  • 具体例:「朝の1時間で本を読む習慣をつけたら、月に5冊読めるようになった」
  • まとめ:「早起きは自己成長のチャンスになる」

この構造を意識すると、聞き手も理解しやすくなります。特に日本人は結論を最後に持ってくる傾向がありますが、先に結論を言うと伝わりやすくなります。

「〇〇だと思う、なぜなら〜だから」を使う

この文型を使うと、意見と理由がセットになり、わかりやすくなります。例えば「プラスチック製レジ袋の有料化は良い取り組みだと思います。なぜなら、環境への負荷を減らすきっかけになるからです」といった具合です。さらに具体例を加えると、より説得力が増します。

反対意見を想定する

自分の意見に対して、どんな反対意見があり得るかを考えてみましょう。それに対する反論も用意しておくと、議論になったときに慌てずに済みます。例えば「早起きは健康に良い」という意見なら、「夜型の人には辛い」という反論が考えられます。それに対して「体内時計は少しずつ調整できる」などと反論を準備しておきます。

5W1Hで整理する

Who(誰が)、What(何を)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(なぜ)、How(どのように)という要素で考えを整理すると、抜け漏れが少なくなります。例えば「環境問題への取り組み」について考えるなら:

  • Who:個人、企業、政府など、誰が主体となるべきか
  • What:具体的に何をすべきか(ゴミ削減、再生可能エネルギーなど)
  • When:いつから始めるべきか、いつまでに結果を出すべきか
  • Where:どの地域や国で重点的に取り組むべきか
  • Why:なぜそれが重要なのか
  • How:どのような方法で実現するか

優先順位をつける

複数の意見や主張がある場合は、重要度や緊急度で優先順位をつけると良いでしょう。全てを同じ重みで話そうとすると焦点がぼやけます。「最も伝えたいことは何か」を明確にしておきましょう。

比喩や例えを考える

抽象的な概念は、具体的な例えや比喩を使うと伝わりやすくなります。「このプロジェクトは、まるでオーケストラのように全員の協調が大切だ」といった具合に、相手がイメージしやすい例えを用意しておくと効果的です。

意見を言う練習方法

意見を持つことができても、それを口に出すのは別のスキルです。少しずつ練習していきましょう。

安全な場所から始める

まずは家族や親しい友人など、失敗しても大丈夫な相手に意見を言う練習をしましょう。例えば、映画を見た後の感想や、日常の小さな決断について話してみるのがおすすめです。「あなたはどう思う?」と聞かれたときに、「うーん、そうだね…」と濁さず、具体的に答える練習をしましょう。

SNSに投稿する

実名でなくても構いません。自分の考えを文章にして投稿する練習になります。最初はコメント欄に一言書くだけでも良いですし、読んだ本や見た映画の感想など、ハードルの低いものから始めましょう。少しずつ社会的なテーマについても書いてみると、自分の考えが整理されていきます。

ひとりごとを言う

家で一人のときに、ニュースを見て「これについて私はこう思う」と声に出してみましょう。声に出すことで、頭の中で考えるよりも具体的に整理されます。最初は鏡の前で話す練習をすると、自分の表情や声のトーンも確認できます。緊張せずに話せるようになるまで繰り返しましょう。

録音してみる

スマホの録音機能を使って、自分の意見を話してみましょう。聞き返すと、「言いたいことが伝わっているか」がわかります。最初は恥ずかしいかもしれませんが、客観的に自分の話し方を知ることで、改善点が見えてきます。「えーと」「あのー」などの無駄な言葉が多くないか、論理的に話せているかなどをチェックしましょう。

小さな意見から始める

「今日のランチはどこにする?」「映画は何を見る?」など、小さな決断から意見を言う練習をしましょう。「どこでもいい」「何でも大丈夫」と言わずに、具体的な希望を伝える習慣をつけます。小さな成功体験を積み重ねることで、自信がついていきます。

ディベートごっこをする

友人と軽いディベートをしてみましょう。「コーヒーvs紅茶」「犬派vs猫派」など、深刻ではないテーマから始めると取り組みやすいです。あえて自分が普段支持しない立場で意見を言う練習をすると、多角的な視点が身につきます。

読書会や勉強会に参加する

本や記事について話し合う読書会や、特定のテーマについて学ぶ勉強会は、意見を言う良い練習の場になります。同じ本を読んだ人たちの中なら、共通の話題があるので話しやすいものです。最初は「この部分に共感しました」など、短いコメントから始めましょう。

オンライン会議で発言する

リモートワークが増え、オンライン会議も珍しくなくなりました。対面よりも緊張が少ないオンライン会議で、積極的に発言する練習をしましょう。必要であれば、事前に言いたいことをメモしておき、会議中にそれを見ながら話すこともできます。

時間制限を設ける

1分間スピーチ」など、時間を決めて話す練習をしましょう。制限時間があることで、ダラダラと話さずに要点をまとめる力がつきます。最初は30秒から始めて、徐々に長くしていくと良いでしょう。スマホのタイマーを使って、友人や家族の前で話してみましょう。

意見を言うときの心構え

意見を言うときに持っておくと良い心構えを詳しく紹介します。

完璧を目指さない

「間違えるかも」と思うと口が重くなります。完璧な意見はありません。途中で考えが変わっても大丈夫です。むしろ、「これは現時点での私の考えです」と前置きすることで、柔軟性を示すことができます。完璧な表現や論理を求めすぎると、結局何も言えなくなってしまいます。

「私は〜と思う」と主語を入れる

「これは間違っている」より「私はこれは間違っていると思う」の方が、押しつけがましくなく、言いやすいものです。「私の考えでは」「私の経験からすると」など、あくまで自分の視点であることを示す言葉を使うと、相手も受け入れやすくなります。

「正解」を目指さない

意見に正解はありません。大切なのは、自分の考えを素直に表現すること。「これが正しい答えです」ではなく、「一つの視点として」という姿勢で話すと、相手も肩の力が抜けて聞いてくれます。特に価値観や好みに関することは、人それぞれであることを忘れないようにしましょう。

質問から始める

いきなり意見を言うのが怖い場合は、質問から始めましょう。「〇〇についてどう思いますか?」と聞いて、相手の意見を聞いた後に「私は〜と思います」と続けるのがおすすめです。相手の意見を尊重しながら会話を進められます。また、「〇〇という考え方もありますが、どう思いますか?」と、自分の意見を質問形式で投げかけるのも効果的です。

具体例を添える

抽象的な意見だけでなく、具体例を添えると説得力が増します。「この方法は効率的だと思います。実際、前回のプロジェクトでは作業時間が30%削減されました」というように、数字や事実を交えると印象に残ります。個人的なエピソードを交えるのも効果的です。

聞く姿勢を忘れない

意見を言うことと同じくらい、相手の意見を聞くことも大切です。一方的に話すのではなく、相手の反応を見ながら進めましょう。うなずきや相づちで「聞いていますよ」というサインを送ることで、コミュニケーションがスムーズになります。

声のトーンや表情に気をつける

同じ内容でも、声のトーンや表情で印象が大きく変わります。緊張すると声が高くなったり早口になったりしがちですが、意識して落ち着いたトーンで話すよう心がけましょう。また、笑顔や穏やかな表情で話すと、厳しい意見でも受け入れられやすくなります。

専門用語を避ける

特に専門外の人に話すときは、専門用語や業界用語を避け、わかりやすい言葉で説明しましょう。使う必要がある場合は、簡単に解説を加えます。「難しいことをシンプルに説明できる」ことは、本当の理解の証です。

譲れない点と譲れる点を区別する

すべての点にこだわると、議論が硬直します。自分の中で「これだけは譲れない」という核心部分と、「ここは妥協できる」という周辺部分を区別しておきましょう。譲れる部分で歩み寄ることで、全体として自分の意見が通りやすくなることもあります。

感情的にならない

意見が対立したとき、感情的になると建設的な議論ができなくなります。「怒り」や「焦り」を感じたら、一度深呼吸して冷静さを取り戻しましょう。必要なら「少し考える時間をください」と言って、時間を置くのも一つの方法です。

相手の立場を想像する

自分の意見を言う前に、相手がどんな立場や背景を持っているかを考えてみましょう。相手の価値観や懸念点を理解した上で話すと、より効果的なコミュニケーションができます。「あなたは〇〇を心配されているかもしれませんが…」と相手の懸念を先に示すと、受け入れられやすくなります。

反対意見への対処法

意見を言うと、時に反対されることがあります。そんなときの対処法も詳しく知っておきましょう。

反対は自分への否定ではない

意見が否定されても、あなた自身が否定されたわけではありません。これは非常に重要な心構えです。「この意見は間違っている」と言われても、「私はダメな人間だ」と受け取らないようにしましょう。意見と人格は別物です。批判を個人攻撃と捉えず、むしろ考えを深める機会だと前向きに捉えましょう。

「なるほど」と一度受け止める

反対意見をすぐに否定せず、「なるほど、そういう考え方もありますね」と一度受け止めましょう。いきなり反論すると、相手は「話を聞いてもらえていない」と感じ、議論が対立を深めるだけになります。まずは相手の意見を尊重する姿勢を示すことで、お互いに建設的な対話ができる土台ができます。

相手の意見を言い換えて確認する

「つまり、あなたが言いたいのは〇〇ということですね?」と、相手の意見を自分の言葉で言い換えて確認します。これは「アクティブリスニング」と呼ばれる技術で、誤解を防ぐだけでなく、「あなたの話をしっかり聞いていますよ」というメッセージになります。相手が「そうではなく…」と訂正してきたら、さらに理解を深めるチャンスです。

共通点を探す

「〇〇という点では同じ考えですね」と、まずは共通点を確認するとお互いに歩み寄りやすくなります。完全に対立する意見はまれで、たいていは何らかの共通基盤があるものです。例えば「方法は違っても、目指すゴールは同じですね」「問題意識は共有できています」といった言葉で共通点を見つけると、その後の議論が建設的になります。

「考えてみます」でいったん保留

その場で答えられないときは、「興味深い視点ですね。考えてみます」と言って、時間をもらうのも一つの方法です。無理に反論したり、曖昧な返事をするよりも、「じっくり検討します」と伝えた方が誠実です。実際にその後考えてみると、相手の意見の良さに気づくこともあります。

質問を重ねる

反対意見をもらったとき、すぐに防衛的になるのではなく、「なぜそう思うのですか?」「具体的にはどんな点が気になりますか?」と質問を重ねてみましょう。相手の考えの背景や根拠を理解することで、議論が深まります。相手も自分の意見を整理する機会になり、お互いの理解が進みます。

感謝の気持ちを伝える

別の視点を教えてくれてありがとう」「考えるきっかけになりました」と伝えると、対立が和らぎます。反対意見は、自分では気づかなかった盲点を教えてくれる貴重なフィードバックです。そう考えれば、感謝の言葉も自然に出てくるでしょう。本当に学ぶ姿勢があれば、反対意見こそ成長の糧になります。

証拠や事例を示す

反論するときは、感情的にならず、具体的な証拠や事例を示すと説得力が増します。「私の経験では…」「〇〇という研究によれば…」など、根拠を示すことで、単なる意見の対立を超えた建設的な議論になります。ただし、相手を論破しようとするのではなく、より良い結論を一緒に探る姿勢が大切です。

「はい、そして…」のマインドセット

相手の意見を否定せず(Yes)、そこに自分の視点を追加する(and)というアプローチです。「おっしゃる通りです。そして、こういう見方もできるかもしれません」といった具合に使います。これにより、対立ではなく協力して考えを発展させる雰囲気が生まれます。

時間をおいて考える

その場で適切な対応ができないと感じたら、「少し考える時間をください」と言って、改めて話し合う機会を設けるのも賢明です。感情的になっているときや疲れているときは、冷静な判断ができません。一晩寝かせることで、より冷静に考えられるようになることもあります。

第三者の意見を聞く

行き詰まったときは、その分野に詳しい第三者や、両者から信頼される人に意見を求めるのも一つの方法です。客観的な視点が入ることで、新たな打開策が見つかることもあります。ただし、「味方を増やす」ためではなく、より良い結論を探すために第三者の意見を求めることが大切です。

まとめ

自分の意見を持ち、それを言葉にするのは簡単なことではありません。でも、小さな一歩から始めれば、少しずつ自分の声を見つけることができます。この旅は、自己発見と成長の過程でもあります。

まず、自分の「好き嫌い」や日常の反応に注目することから始めましょう。そこには、あなたの価値観が反映されています。次に、考えを整理する方法を身につけ、安全な環境で少しずつ発言する練習をしてみましょう。

意見を言うときは、完璧を目指さず、「私は〜と思う」と主語を入れて話すことで、押しつけがましさを減らすことができます。反対意見をもらったときも、それを自分への否定と受け取らず、建設的な対話の機会と捉えましょう。

場面や相手に応じて伝え方を工夫することも大切です。上司には敬意を示しながら、会議では簡潔に、SNSでは慎重に、身近な人には思いやりを持って伝えるなど、状況に応じたアプローチを身につけていきましょう。

自分の意見を言えるようになると、自己理解が深まり、人間関係が豊かになり、問題解決につながり、自己肯定感が高まるなど、多くの恩恵があります。それは個人の成長だけでなく、周囲の人々や社会全体にも良い影響を与えるでしょう。

大切なのは、完璧を目指さないこと。間違えても良いのです。意見を言うたびに、あなたの「意見筋肉」は強くなっていきます。少しずつ自分のペースで、できることから始めてみてくださいね。

自分の意見を持っている人と自分の意見を言える人の特徴