「メモしても忘れてしまう」 「教えてもらったのに、またミスしてしまった」 「覚えが悪くて、周りに迷惑をかけてばかりいる気がする」
そんなふうに感じている方へ。
仕事を覚えられないと、自信を失い、自己嫌悪に陥ってしまいがちです。
でもそれは、単にあなたの能力や努力不足というだけではなく、環境や心の状態、学び方のクセなど、さまざまな要因が影響している可能性があります。
この記事では、心理カウンセラーの視点から「仕事が覚えられない理由」と「その具体的な対処法」について、やさしく丁寧に解説していきます。
なぜ仕事が覚えられないのか?主な原因
1. 不安や緊張で脳がうまく働かない
新しい職場や慣れない環境では、どうしても緊張したり不安になります。
脳はストレス状態になると“記憶を司る働き”がうまく機能しません。
つまり、「覚えよう!」と思っても、脳の器がそれどころじゃなくなっている状態です。
まずは「覚えられない=自分がダメ」と思うのではなく、「脳が今、落ち着けていないのかも」と考えてみてください。
2. 教わり方・覚え方が合っていない
人にはそれぞれ、得意な「インプットの方法」があります。
- 見て覚えるのが得意な人(視覚型)
- 聞いて理解するのが得意な人(聴覚型)
- 実際にやってみて覚える人(体感型)
あなたが「視覚型」なのに、口頭での説明だけでは記憶に残りづらいことがあります。
逆に、「聞いたほうが覚えやすい」タイプなのに、マニュアルだけ渡されても苦手に感じることも。
自分に合った覚え方を工夫することで、グッと吸収力が変わることもあるのです。
3. 情報量が多すぎて処理が追いつかない
仕事に慣れていないときは、いろんなことを一度に覚えようとしてしまいがちです。
でも実際には、人の脳が一度に処理できる情報には限界があります。
特に新人時代や転職直後などは、覚えることが膨大です。 そのすべてを一気に頭に入れようとすると、かえって混乱しやすくなります。
4. 自己肯定感が下がっている
「どうせ自分には無理」 「また怒られるんだろうな」
そんなふうに思いながら覚えようとすると、脳は防衛反応として“記憶しない”方向に働いてしまいます。
自己肯定感が低い状態では新しいことを吸収する力も下がってしまうのです。
5. 発達特性や心のコンディションの影響
発達障害(ADHDや学習障害など)や、うつ・適応障害など心の不調が影響して、記憶力や集中力が落ちることもあります。
これは努力ではカバーできない部分もあります。
「自分はちょっと人と違う覚え方をしているかも?」と感じたら、専門家に相談するのも選択肢のひとつです。
どうすればいい?仕事を覚えるための実践的な工夫
1. メモは「自分が見てわかる形」で残す
言われたことをそのまま書くのではなく、あとで見返したときに「自分が理解できるか?」を意識しましょう。
箇条書きや図、色分けなど、視覚的に整理すると記憶にも残りやすくなります。
2. 一度で覚えようとせず「繰り返す」前提で構える
一回で完璧に覚える人なんてほとんどいません。 何度も繰り返す中で、自然と身についていくのが普通です。
「失敗しても、次は少しだけうまくなればいい」 そう思えるだけで、心に余裕が生まれます。
3. 自分の「得意な覚え方」に合わせて工夫する
視覚型の人なら図や写真、マインドマップなど。 聴覚型の人なら、説明をスマホで録音して聞き返すなど。
自分の特性に合った方法を探してみましょう。
4. 小さな成功体験を積み重ねる
たとえ「今日は一個だけ覚えられた」でも、それは大きな前進です。
完璧を目指さず、小さな「できた」を認める習慣が自信を育ててくれます。
5. 信頼できる人に相談する
先輩や上司、あるいは職場外の信頼できる人に、「どうしたらもっと覚えやすくなるか」と相談してみましょう。
一人で抱え込まず、周りの力を借りることは、決して甘えではありません。
おわりにーー「覚えられない自分」から「工夫できる自分」へ
仕事が覚えられないという悩みは、多くの人が一度は経験するものです。
大切なのは、そこで自分を責めるのではなく、「どうしたら覚えやすくなるか」を考えてみること。
覚え方は人それぞれ。 努力の仕方も、人によって違っていいんです。
焦らなくて大丈夫。 少しずつ、自分に合った方法を見つけながら、成長していきましょう。
あなたの頑張りは、ちゃんとあなたの中に積み重なっています。