「誰かに褒めてもらわないと、自信が持てない」そんなふうに感じることはありませんか?
「もっと頑張ったねって言ってほしい」「認めてもらえないと、私の努力は意味がない」そう思ってしまうのは、あなただけではありません。
実は、多くの人が密かに同じような気持ちを抱えています。
この記事では、「褒められないと自信が持てない」と感じてしまう心の背景を掘り下げつつ、他人の評価に頼らずに自分の価値を認めるための方法を、心理カウンセラーの視点からやさしくお伝えします。
少しずつ「他人の言葉がなくても大丈夫」と思える自分に近づいていくヒントを、一緒に探していきましょう。
なぜ褒められないと自信がなくなるのか
幼少期の経験と「条件つきの愛」
多くの場合、褒められないと不安になる心の土台は、子ども時代に形づくられます。
たとえば、
- 良い成績のときだけ親が喜んだ
- 頑張ったけど結果が出ないときは、何も言ってもらえなかった
- 失敗したら叱られ、褒められることがほとんどなかった
こういった経験が続くと「成果を出さなければ価値がない」「認めてもらえない自分には意味がない」と、心の奥深くに思い込んでしまうのです。
このような「条件つきの愛」は、無意識のうちに他人の評価を常に気にするクセにつながっていきます。
社会の構造が評価主義を加速させる
現代社会は成果主義や競争の構造が強く、「目に見える結果」や「他人からの評価」に重きが置かれがちです。
たとえば、
- 学校ではテストの点数や成績で評価される
- 会社では売上や実績で評価される
- SNSでは“いいね”やフォロワー数が人気のバロメーターになる
こうした環境では、自分の頑張りよりも「他人がどう見ているか」に敏感になり、自分を褒めることよりも「褒めてもらうこと」が安心材料になってしまいます。
褒められないと不安になる人の特徴
褒められないと不安になる人には、いくつかの共通した傾向があります。
- 自分に対するハードルが高い
- 人にどう思われているかを常に気にしてしまう
- 「すごいね」と言われないとやる気が出ない
- 褒められることでしか自分を認められない
- 小さな成功や努力を自分で肯定できない
これらはすべて、「自己肯定感の不足」に関係しています。
自己肯定感と自己効力感の違い
自己肯定感とは?
「自分はこのままでいい」と思える感覚。失敗しても、不完全でも、自分に価値があると感じられる心の土台です。
自己効力感とは?
「自分にはできる」と思える感覚。行動を起こすためのエネルギー源になります。
どちらも、他人に褒められなくても安定した自信を持つためには欠かせない要素です。
自分の価値を自分で認める習慣を育てよう
1. 小さな成功を自分で数える
たとえば、
- 朝ちゃんと起きられた
- 苦手なメールを出せた
- 休まず会社に行けた
こうした日常の中の“小さなできた”を、自分で意識的に数えてみましょう。
「私はちゃんとやれてる」と思える感覚が、少しずつ積み重なって自信になります。
2. 「他人の評価」より「自分の気持ち」に目を向ける
「すごいね」と言われたことよりも、「私はどう感じたか?」を大切にするよう意識してみてください。
たとえば、
- 褒められたけど、自分では納得していない → 自分の声に従ってOK
- 褒められなかったけど、やりきった感がある → それも立派な成功
こうやって、自分の中の“本音”に目を向ける練習が大切です。
3. 自分を褒める言葉を日常に取り入れる
「誰かが褒めてくれるまで待つ」のではなく、「自分で自分を褒める」習慣を作りましょう。
たとえば、
- 朝、鏡を見て「今日もよくやってるね」と声をかける
- 夜寝る前に、「今日も1日よく頑張った」と振り返る
- 失敗したときも「チャレンジしただけでえらい」と自分に言う
最初は照れくさくても、続けるうちに心が少しずつほぐれていきます。
他人からの褒め言葉とどう付き合うか
褒め言葉を「ご褒美」としてとらえる
誰かに褒められたときは、それを“ご褒美”のように受け取りましょう。
それはあくまで、「頑張った自分に対するご褒美」であって、自分の価値を決めるものではありません。
褒められなかったときの心の持ち方
- 気づかれていないだけかも
- 評価の基準が違うだけ
- 私が自分で認めてあげればいい
このように考えることで、他人からの反応がなくても心が揺らぎにくくなります。
自信は、他人から与えられるものではない
他人に褒められないと自信が持てないと感じるのは、決して恥ずかしいことではありません。
でも、少しずつでも「自分が自分を認めてあげる」時間を持つことで、心は変わっていきます。
誰かに認められることは、うれしいことです。 でも、それがなければ不安になるほど、自分を他人に預けてしまうのはもったいない。
あなたの価値は、褒められることで決まるものではありません。
あなたが今日も、生きている。 それだけで、本当にすごいことなのです。
どうか、自分にやさしく、自分を信じて歩んでいけますように。