他人の良いところばかり目につくのはなぜ?自分の価値を見つける心の習慣

「どうしてあの人は、あんなに魅力的なんだろう」 「人と比べて、自分は全然ダメだな……」

そんなふうに、周囲の人の良いところばかりが目について、自分には何もないように感じてしまう。

頭では「人は人、自分は自分」とわかっていても、気づけば誰かと自分を比べて落ち込んでいる。

その気持ち、決してあなただけのものではありません。

多くの人が、同じような思いを抱えながら生きています。

この記事では、「他人の良いところばかりに目がいってしまう」心の仕組みと、そこから少しずつ自分自身を取り戻す方法について、心理カウンセラーの視点からやさしく解説していきます。

なぜ他人の良いところが目につくのか?

心は“外側”に注意を向けがち

私たちの意識は、常に刺激の強いものや目立つものに引き寄せられます。

SNSで楽しそうな友人、職場でのびのびと振る舞う同僚、テレビの中でキラキラしている芸能人……

これらは、あなたが「見えている」部分です。

他人の長所や成果は、表に出ている“完成された一部”であることが多く、その裏にある苦労や弱さは見えづらいもの。

一方、自分のことは失敗や不安、努力の裏側まで知っている。

だから「他人はすごい、自分はダメ」という錯覚が生まれやすいのです。

比較を通じて安心を得ようとする本能

人間には、他者と自分を比べることで「自分はどう生きるべきか」を判断しようとする本能的な傾向があります。

この“社会的比較”は本来、生きるための指針を得るポジティブな力にもなり得ます。

しかし、現代のように情報があふれ、周囲の成功や魅力が簡単に可視化される時代では、その比較がかえって自己否定に繋がりやすくなっています。

「他人の良いところばかり見る人」の特徴

1. 自己肯定感が低め

自分に対する評価が低いと、他人の素晴らしさばかりが際立って見えてしまいます。 「自分なんて…」という思考が根底にあると、良い部分に気づいても認めにくくなります。

2. 誠実でまじめな性格

実は、他人の良いところに気づける人は、とても繊細で感受性が高い人でもあります。 それ自体は強みですが、裏返すと「自分にはない」と感じやすくなることも。

3. 完璧主義・理想が高い

「こうあるべき」という理想像が強い人ほど、現実の自分との差に苦しみやすい傾向があります。 そのギャップを、他人の中に埋めようとしてしまうこともあるのです。

自分の“よさ”が見えなくなる心のメカニズム

「他人軸」で生きてしまっている

誰かの目や評価に重きを置きすぎると、自分の本当の価値観が見えなくなってしまいます。

「みんながそうしてるから」「あの人みたいにならないと」…そうした他人軸の思考に慣れてしまうと、自分の良さや魅力に気づきにくくなります。

自分に厳しい“内なる声”の存在

「もっと頑張らなきゃ」「こんな自分じゃダメだ」…そんな厳しい声が、自分の中にありませんか?

これは、幼少期の経験や親からの影響などによって根づいた“内なる批判者”であることが多いです。

この声が強いほど、他人の良さばかりが目立ち、自分の価値を見失いやすくなります。

他人の良さに目がいく癖を手放すヒント

1. 自分の「当たり前」に目を向ける

あなたが「普通にできること」は、他の誰かにとっては「すごいこと」かもしれません。

  • 丁寧に話を聞ける
  • 毎日きちんと働いている
  • 気遣いが自然にできる

こうしたことは、他人に比べれば地味に思えるかもしれません。

でも、そこにはあなたらしさが確かに存在しています。

2. 他人を尊敬しつつ、自分にも目を向ける

他人の良さを認められるのは、あなたが持っている“見る目”が優れている証拠です。

その感性を、自分自身にも向けてみましょう。

「私はこんなふうに誰かを素敵だと思える。 じゃあ、私にもそういう部分があるのでは?」…そんな問いかけから、自己理解は始まります。

3. 「自分の良さリスト」を作ってみる

少し恥ずかしくても、自分の良いところを10個、書き出してみてください。

最初はなかなか出てこないかもしれません。

でも続けるうちに、「自分にもこんな面があるんだ」と気づけるようになります。

他人と比べすぎてしまう自分を癒す方法

日々の比較に「気づく」ことから始める

気づいたときに、「あ、また比べてるな」と言葉に出してみましょう。

否定するのではなく、「比べてしまう自分もいるな」と受け入れることで、心は少しずつ落ち着いていきます。

SNSとの距離を意識的に取る

SNSでは、他人の“切り取られた瞬間”だけが目に入ります。

一度離れてみると、「自分の今この瞬間」をもっと感じやすくなります。

自分自身との対話を深める時間を持つ

ノートに思ったことを書いてみたり、静かに深呼吸して内面と向き合う時間をつくってみましょう。

忙しい日々の中で、自分の声が一番聞こえなくなっていることに気づくかもしれません。

他人の中にある輝きは、あなたの中にもある

他人の良いところばかりが目についてしまう。

それは、あなたの心が“美しいもの”を見つける力を持っている証です。

だからこそ、他人と比べて落ち込むのではなく、その感性を自分の中にも向けてあげてください。

あなたにも、他人が気づかないような素敵な部分が、きっとたくさんあります。それに気づいて、少しずつ育てていく。

その積み重ねが、自己肯定感という大きな土台をつくっていきます。

今日からほんの少しだけ、自分のいいところを探す目を持ってみませんか?

その第一歩が、あなたをもっと自由に、しなやかにしてくれるはずです。