「なんだか最近、自分が何をしたいのか分からない」、「まわりに合わせてばかりで本音を出せなくなっている気がする」…そんな風に感じたことはありませんか?
人との関係を大切にしようとすることは素晴らしいことです。
でもその気持ちが強くなりすぎると、次第に自分の気持ちを抑えて、相手に合わせることが“当たり前”になってしまうことがあります。
そして気がつくと、「自分の気持ちが分からない」「本当の自分がどこにいるのか分からない」と感じて、心が空っぽになってしまうような感覚に襲われることもあります。
この記事では、心理カウンセラーとしての視点から「周囲に合わせすぎてしまう理由」と「どうすれば自分を取り戻せるのか」について、丁寧に掘り下げていきます。
ゆっくり読んで自分の心と優しく向き合う時間にしてもらえたら幸いです。
なぜ「合わせすぎてしまう」のか
まず最初に大切なことをお伝えします。それは、「人に合わせること」は決して悪いことではないということです。
私たちは、集団の中で安心して生きるために、ある程度“周囲に合わせる力”を持って生まれています。
でも、もしその力が「自分の気持ちを後回しにしてでも、相手に嫌われないようにしよう」「自分の価値は他人の評価で決まる」といった形で働きすぎると、やがて苦しくなっていきます。
たとえば、こんな経験はありませんか?
- 自分の本音を言うと場が悪くなる気がして、空気を読んでばかりいる
- SNSで自分らしい投稿をすると、不安になってすぐに削除してしまう
- 友達の意見に合わせてばかりで、気がつけば自分の好みや考えが分からなくなっている
これらの行動の背景には、「見捨てられたくない」「否定されるのが怖い」「自分には価値がないと思われたくない」といった深い感情があることが多いです。
「本当の自分が分からない」と感じるときの心の中
人は、自分を守るために“仮面”をかぶることがあります。
場に応じてふるまいを変えることは、生きていく上で必要なスキルでもあります。
でもその仮面が長くなりすぎると、だんだんと“中にいる本当の自分”の存在が分からなくなってしまうのです。
周りに合わせているうちに、本音が分からなくなった
気づいたら、どれが“素”でどれが“演技”なのか分からない
この感覚が続くと、日常がどんどん疲れて感じられるようになります。心がスカスカして、生きている実感を持ちにくくなります。
自分を見失いやすい人の特徴とは?
すべての人が「合わせすぎ」で悩むわけではありません。
では、どんな人が特にこの問題に直面しやすいのでしょうか。
以下のような傾向がある人は、特に要注意です。
- 子どものころから「いい子」でいることが求められてきた
- 親や先生など、周囲の大人の期待に応えることで認められてきた
- 怒られたり、否定されることに強い恐怖を感じる
- 人から嫌われることに強い不安がある
- 「自分がどうしたいか」よりも「どう思われるか」を優先してしまう
これらはすべて、自分を守るために自然と身につけた“生き抜く知恵”でもあります。
だからこそ、自分を責める必要はまったくありません。
でも、それによって今の自分が苦しくなっているなら、少しずつ「自分のために生きる」という感覚を取り戻していく必要があります。
本当の自分を見つけるための第一歩
では、どうすれば「本当の自分」に近づけるのでしょうか。それはとてもシンプルで、「自分の小さな感情に気づくこと」から始まります。
- この人と一緒にいると、どんな気持ちになる?
- 今のこの投稿、誰のためにしている?
- 自分が心地よいと思える瞬間は、どんなとき?
こうした問いを日常の中で自分に投げかけてみてください。
最初は答えが出なくても構いません。大切なのは、「自分の気持ちに意識を向ける」という習慣を少しずつ作っていくことです。
気づけばそれが、自分を取り戻す道しるべになってくれます。
自分らしさを取り戻すための3つの習慣
1. 他人の評価から距離を置く時間を作る
SNSやLINE、学校や職場での会話には常に「他人の目」があります。
だからこそ意識的に他人の評価が存在しない時間を持ってみてください。
スマホを手放して散歩をする、日記を書く、ひとりでカフェに行く。
静かな時間は、心の声が聞こえやすくなる大切な場になります。
2. 「嫌だ」と思った気持ちを無視しない
たとえば、何気ない誘いや言葉に「モヤッ」としたとき、「まあいっか」と流すのではなく、「なぜ嫌だったのか」を考えてみてください。
「相手が悪い」という話ではなく、「自分の価値観」に気づくためのヒントとして捉えるのです。
3. 小さな“自分発信”をしてみる
日々の中で、小さくてもいいので「自分から選んだ行動」を取り入れてみてください。
- 今日はどんな服を着たい?
- 本当は何を食べたい?
- どんな言葉を使って話したい?
そうやって、自分の感覚を少しずつ取り戻していくと、「これが私だ」と思える瞬間が増えていきます。
おわりに
「周囲に合わせること」は、あなたが優しくて、思いやりがある証拠です。
でも、それがあなた自身を苦しめているなら、「自分に合わせること」も大切にしてほしいのです。
本当の自分は、特別な誰かになることではなく、「本音に正直であること」「自分の気持ちに目を向けてあげること」から始まります。
今日から少しずつ、他人の期待よりも「自分の気持ち」を信じてみてください。きっとその先に、あなたらしい人生が待っています。