- 誰かの役に立っていたい
- 頼られたいし、愛されたい
- 必要とされないなら、自分の存在価値なんてない気がする
こう思うのは、決して特別なことではありません。
人は誰でも、「誰かとのつながり」や「自分の存在意義」を感じたい生き物だからです。
けれど、その気持ちが強くなりすぎると、自分をすり減らしてでも誰かに尽くそうとしてしまったり、必要とされない瞬間に強い孤独感や無力感に襲われてしまうこともあります。
この記事では、「必要とされたい」という思いがつらくなってしまう理由と、そこから自分を取り戻すヒントを、心理カウンセラーの視点からお伝えします。
「必要とされないと不安」になるのはなぜ?
自分の価値を“他人の反応”で測ってしまう
- 誰かに認められていないと不安になる
- 役に立てていないと、自分には価値がない気がする
こうした感覚の裏には、「自分には元々価値がある」という自己肯定感の揺らぎがあることがあります。
承認や愛情を他者から得ることで、自分の価値を感じようとする癖がついていると、誰にも必要とされていないと感じたとき、心の拠り所がなくなってしまうのです。
幼少期の愛情体験の影響
- いい子にしていないと褒めてもらえなかった
- 役に立たないと怒られた
そんな経験があると、「必要とされる=愛される」という思い込みが大人になっても根強く残ることがあります。
そのため、“ただそこにいるだけ”では愛される実感が持てず、常に自分に役割を課してしまうのです。
孤独や空虚さへの恐れ
- ひとりになると不安でたまらない
- 誰も自分を必要としてくれなかったら、消えてしまいたい
こうした思いは、心の深い部分にある孤独感や、存在の空虚さからくる不安が関係しています。
必要とされることで、その空白を埋めようとしているのかもしれません。
つらさから抜け出すヒント──自分のために生きる感覚を取り戻す
「存在」と「役割」は別物だと知る
あなたが“何をしたか”よりも、“どんなふうに生きているか”のほうが、本当はずっと大切です。
役に立っていないときでも、笑っているだけでも、静かにしているときでも、あなたはちゃんと価値がある。
“必要とされる自分”だけがあなたではありません。
自分とのつながりを取り戻す
「本当は、どうしたい?」 「誰に、何をされたくて、今つらいの?」…その答えがすぐに見つからなくても大丈夫。
大切なのは、自分の気持ちに丁寧に耳を傾けること。
誰かに必要とされる前に、まずは“自分が自分を必要としてあげる”ことが、心を支える土台になります。
できない自分にも「OK」を出す練習
「何もできない自分」 「誰の役にも立っていない自分」…そんな自分にこそ、やさしくしてあげてください。
うまくできない、疲れて動けないときでも、あなたの価値は変わりません。
無力に感じる瞬間こそ、“自分を守る力”を育てるチャンスです。
「必要とされたい」と思う自分を否定しない
この感情は、弱さではなく「繋がりを求める心の健やかさ」でもあります。
だからこそ、自分を責めるのではなく、「ああ、私は人とつながりたいんだな」と、ただ感じてみる。
そのやさしい視点が、少しずつ心をほぐしていきます。
「必要とされるにはどうしたらいいか?」を考える前に
必要とされたいという気持ちは、ごく自然な人間の欲求のひとつです。
ただ、その答えを“他人に認めてもらうこと”だけに求めてしまうと、心が疲れてしまいます。
本当に満たされる「必要とされる感覚」は、自分自身との関係を大切にした先に見えてくるもの。
まずは、自分が「やりたい」「喜びを感じる」と思えることを少しずつ形にしてみてください。
人に親切にする、感謝を伝える、自分の得意を活かしてみる──そんな行動の先に、自然と誰かとの心地よいつながりが生まれていきます。
“必要とされること”にとらわれすぎず、“自分らしくいられる場所”を探していくことが、結果として心からのつながりを育ててくれるのです。
心を守るための行動のヒント
- 「今日は誰の期待にも応えなくていい」と決める日をつくる
- SNSやLINEから一時的に離れてみる
- 「好き」「落ち着く」と思えるものを小さく取り入れる(香り、音楽、自然など)
- 「ありがとう」「助かったよ」など、感謝された経験をメモに残す
- 「何もしない時間」を罪悪感なく持つ練習をする
おわりに──あなたは、“必要とされていなくても”愛されていい存在
「必要とされない自分には価値がない」 そう感じてしまう瞬間は、誰にでもあるものです。
でも、あなたの価値は“人の役に立つこと”だけではありません。今ここに、あなたが生きているだけで、誰かにとっては十分な光になります。
少しずつでいいから、誰かの期待の前に「自分の気持ち」を優先してみてください。
あなたがあなたらしく、少しでも心軽く過ごせますように。